交換方式とは?パケット交換・ATM・フレームリレーを基礎から理解しよう
はじめに
ネットワークを使ってデータを送るとき、
送信者
↓
ネットワーク
↓
受信者
と単純に直接つながっているとは限りません。
実際にはネットワーク内の交換機などを経由しながら、目的地までデータを届けます。
このとき、
ネットワーク内でデータをどのように転送していくのか
を考えるのが交換方式です。
今回は、
パケット交換方式
ATM交換方式
フレームリレー
について見ていきます。
1. パケット交換方式
**パケット交換方式(Packet Switching)**は、
データをパケットと呼ばれる小さな単位に分割して送信する方式
です。
例えば、大きなデータを送る場合、
大きなデータ
ABCDEFGH
を、
AB
CD
EF
GH
のように小さく分割して送信します。
この小さなデータのまとまりがパケットです。
2. パケット交換の仕組み
パケットには、宛先などの制御情報が付加されます。
┌────────┬────────┐
│ ヘッダ │ データ │
└────────┴────────┘
ネットワーク機器はヘッダに含まれる宛先情報などを確認し、適切な方向へパケットを転送します。
PC
↓
パケット
↓
ルーター
↓
ルーター
↓
サーバー
インターネットのIP通信も、パケット交換の考え方を利用しています。
3. 回線を複数の通信で共有できる
パケット交換方式の大きな特徴は、
1つの通信回線を複数の通信で共有できる
ことです。
例えば、
利用者A ─┐
利用者B ─┼→ ネットワーク
利用者C ─┘
それぞれのデータをパケットに分割して送ることで、同じ回線を効率よく利用できます。
ただし、多くの利用者が同時に通信するとネットワークが混雑し、遅延などが発生する場合があります。
4. パケットごとに経路が異なることもある
IPネットワークでは、状況によってパケットが異なる経路を通ることもあります。
┌→ 経路A ─┐
送信元 ─┤ ├→ 宛先
└→ 経路B ─┘
そのため、送信した順番と到着した順番が必ず一致するとは限りません。
必要に応じてTCPなどの上位プロトコルが順序制御や再送制御を行います。
5. ATM交換方式
**ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)**は、
データを固定長の「セル」に分割して転送する交換方式
です。
パケット交換ではデータの大きさが可変長になることがあります。
ATMでは、
53バイトの固定長
でデータを転送します。
この53バイトの単位を、
セル(Cell)
と呼びます。
6. ATMセル
ATMセルは、
53バイト
で構成されます。
内訳は、
┌──────────┬─────────────────┐
│ ヘッダ │ データ │
│ 5バイト │ 48バイト │
└──────────┴─────────────────┘
合計53バイト
です。
つまり、
ATMセル
ヘッダ
→ 5バイト
データ
→ 48バイト
合計
→ 53バイト
となります。
ここはATMの代表的な特徴なので覚えておきましょう。
7. なぜ固定長なのか
ATMでは、すべてのセルが同じ大きさです。
[53B][53B][53B][53B]
固定長にすることで交換処理を行いやすくし、高速な転送を実現しやすくなります。
また、小さな固定長セルを利用することで、音声や動画などのリアルタイム性が求められる通信も扱いやすいという特徴があります。
8. ATMはコネクション型
ATMでは、通信を開始する前に、
あらかじめ通信経路となる仮想的な接続を設定する
という考え方を利用します。
このような仮想的な通信路を、
仮想回線(Virtual Circuit)
と呼びます。
送信元
↓
仮想回線
↓
ATM交換機
↓
ATM交換機
↓
受信先
そのためATMは、
コネクション型
の通信方式です。
9. パケット交換とATMの違い
大きな違いは、データを転送する単位です。
一般的なパケット交換
[ パケット ]
[ パケット ]
[ パケット ]
→ 可変長
一方ATMでは、
[セル][セル][セル][セル]
→ すべて53バイト
となります。
つまり、
ATM = 53バイトの固定長セル
が重要なポイントです。
10. フレームリレー
**フレームリレー(Frame Relay)**は、
フレーム単位でデータを高速に転送する通信方式
です。
主にWANで利用されてきた技術です。
フレームリレーが登場した背景には、通信回線の品質向上があります。
11. 誤り制御を簡略化
以前の通信回線では、通信中のエラーが現在より発生しやすかったため、ネットワーク側で多くの誤り制御を行う必要がありました。
しかし通信回線の品質が向上すると、
ネットワーク内で毎回複雑な誤り制御を行わなくてもよいのでは?
という考え方ができるようになりました。
フレームリレーでは、
ネットワーク内の誤り制御や再送制御を簡略化し、端末側の上位プロトコルなどに任せる
ことで、高速な通信を実現します。
12. フレームリレーと仮想回線
フレームリレーでも、
仮想回線
を利用します。
拠点A
↓
┌──────────────┐
│ WAN網 │
│ 仮想回線 │
└──────────────┘
↓
拠点B
物理的な回線を通信ごとに専有するのではなく、1つの物理回線上に論理的な通信路を作ることができます。
13. DLCI
フレームリレーでは、仮想回線を識別するために、
DLCI(Data Link Connection Identifier)
という識別子を利用します。
フレーム
↓
DLCIを確認
↓
どの仮想回線へ転送するか判断
つまり、
DLCI = フレームリレーの仮想回線を識別する番号
と覚えておきましょう。
14. パケット交換・ATM・フレームリレーを比較
3つを整理してみましょう。
| 方式 | データ単位 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| パケット交換 | パケット | データを分割して回線を共有 |
| ATM | セル | 53バイトの固定長 |
| フレームリレー | フレーム | 誤り制御を簡略化して高速化 |
さらに重要なポイントを加えると、
パケット交換
→ パケットに分割して効率よく回線を共有
ATM
→ 固定長53バイトのセル
→ 仮想回線を利用
フレームリレー
→ フレーム単位
→ 仮想回線を利用
→ 誤り制御を簡略化
となります。
15. ATMとフレームリレーの違い
ATMとフレームリレーは、どちらも仮想回線を利用するため混同しやすいところです。
大きな違いは、
転送するデータの単位
です。
ATM
↓
固定長セル
↓
53バイト
フレームリレー
↓
可変長のフレーム
したがって試験では、
53バイト
が出てきたら、まずATMを思い出しましょう。
16. まとめ
この記事で覚えること
- パケット交換方式はデータをパケットに分割して送信する
- パケット交換では複数の通信で回線を共有できる
- IPネットワークはパケット交換の考え方を利用している
- ATMは固定長のセルを利用する
- ATMセルは53バイト
- ATMセルは5バイトのヘッダと48バイトのデータで構成される
- ATMは仮想回線を利用するコネクション型
- フレームリレーはフレーム単位でデータを転送する
- フレームリレーではネットワーク側の誤り制御・再送制御を簡略化する
- フレームリレーでも仮想回線を利用する
- DLCIはフレームリレーの仮想回線を識別する
- ATMは固定長セル、フレームリレーは可変長フレーム
🍯 はちみつメモ
交換方式は「何に分けて運ぶ?」で整理すると覚えやすい。パケット交換はパケット、ATMは53バイトの固定長セル、フレームリレーはフレーム。特に「ATM = 53バイト」「フレームリレー = 誤り制御を簡略化」の2つはセットで覚えよう。